初めて広告代理店から見積もりを取ったとき、「運用手数料は広告費の20%です」と言われて、それが高いのか安いのか判断できなかった——そんな経験はありませんか。相見積もりを取っても、各社の料金体系がバラバラで比べようがない。結局「一番安いところ」か「一番有名なところ」で決めてしまった、という話を、私たちは支援の現場で何度も聞いてきました。
先に正直にお伝えしておきます。私たちCRAFHも、広告運用の支援を行う会社です。つまりこの記事は、「代理店を選ぶ側」のための記事を「選ばれる側」が書いています。ポジショントークに見えないよう、外からは見えにくい料金の仕組みも、代理店側の内側の事情も、できるだけ隠さずに書くつもりです。その上で、どう選ぶかはあなたが判断してください。
この記事で分かること
- 広告代理店の手数料相場と、料金体系の種類
- 「手数料の安さ」で選ぶと失敗しやすい構造的な理由
- 良い代理店を見分ける3つのチェックポイント
- 契約前に確認したい質問リスト
- 運用を支援する側からの、率直な本音
手数料の相場 — 「広告費の20%前後」が一般的な水準
まず相場感からです。Web広告の運用代行では、広告費に対して20%前後の運用手数料が一般的な水準と言われています。月の広告費が50万円なら、手数料は月10万円前後というイメージです(料金体系や作業範囲によって変わるため、あくまで目安として捉えてください)。
ただし、料金体系は1種類ではありません。主な型を整理します。
もうひとつ、見積もりを比べるときに見落としやすいのが最低出稿金額と最低手数料です。「広告費は月◯万円から」「手数料は最低◯万円」という下限が設定されているケースが多く、広告費が少額だと、実質的な手数料率が20%を大きく超えることもあると言われています。バナーやLPの制作費が手数料と別料金かどうかも、代理店によって扱いが分かれるところです。
なお、ここに挙げた数字はあくまで目安です。作業範囲や媒体によって適正な水準は変わるため、「相場より高い=ぼったくり」「安い=お得」と単純には判断できません。そもそもの広告予算の考え方については、Web広告の費用はいくらから?中小企業の相場と始め方で詳しく書いています。
「手数料が安い代理店」を探すと、なぜ失敗しやすいのか
相場が20%なら、15%の代理店のほうがお得——そう考えたくなりますよね。私も発注する立場なら、まず金額を見比べると思います。
でも、ここで手数料の中身を考えてみてほしいのです。運用手数料の正体は、ほぼ人件費です。月の広告費30万円・手数料20%なら、代理店の売上は月6万円。この金額のなかで、担当者が管理画面を見て、入札やクリエイティブを調整し、レポートを作り、打ち合わせをする。冷静に計算すると、かけられる時間はそれほど多くありません。
正直に言うと、安すぎる予算では、代理店はどうしても動けなくなります。手数料を削って受注すれば、その分どこかで工数を削るしかない。行き着く先が、初期設定のまま何ヶ月も放置される「ほったらかし運用」です。私たちの支援先にも、「前の代理店は安かったけれど、半年間ほとんど設定が変わっていなかった」という状態で相談に来られた会社がありました。安い手数料は、安いなりの工数しか買えていなかった、ということです。
だからこそ、比べるべきは手数料の率ではなく、その金額で何をしてくれるのかだと私たちは考えています。
良い代理店の見分け方 — 金額より、この3つを見る
では、何を見れば「動いてくれる代理店」かどうかが分かるのか。私たちが逆の立場なら必ず確認する3点をお伝えします。
1. レポートに「数字」だけでなく「次の一手」が書かれているか
契約前に、レポートのサンプルを見せてもらってください。表示回数やクリック数がずらっと並んでいるだけのレポートと、「この数字だからこう判断し、来月はこれを変える」まで書かれているレポートでは、運用の質がまったく違います。数字の羅列は管理画面から出力すれば作れますが、「次の一手」は考えないと書けないからです。レポートのどこを見ればいいかは、広告レポートの読み方で解説しています。
2. 改善提案が「月1回のレポート以外」にも来るか
月次レポートは、いわば定例の報告です。良い運用者は、数字に異変があればレポートを待たずに連絡してきますし、こちらが聞かなくても「こういうテストをしませんか」と提案してきます。契約前に「レポート以外で、どんなタイミングで連絡をもらえますか」と聞いてみると、運用スタイルの温度感が見えてきます。
3. 広告アカウントの所有権が自社にあるか
これが一番見落とされやすく、そして後から一番痛いポイントです。広告アカウントが代理店名義で作られている場合、解約時にアカウントごと引き渡してもらえず、過去の配信データや学習の蓄積をゼロから作り直しになるおそれがあります。管理画面を一切開示しない代理店も存在すると言われています。広告データは、費用を払ったあなたの会社の資産です。「アカウントの名義はどちらになりますか」「解約時には何を引き渡してもらえますか」——この2つの質問には、契約前に必ず明確な答えをもらってください。
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契約前に確認したい質問リスト
ここまでの内容を、商談の場でそのまま使える質問リストにまとめました。すべてに答えてくれるかどうか自体が、誠実さの試金石になります。
即答できない質問があること自体は問題ではありません。ただ、「アカウントの名義」や「解約時の引き渡し」について回答を濁す場合は、慎重になったほうがいいと私たちは考えています。
正直に言うと — 運用を支援する側の本音
最後に、選ばれる側だからこそ書けることを、いくつか率直に書きます。
一つめ。月の広告費が10万円に満たない段階なら、代理店に頼まないほうがいい場合が多いと思っています。手数料と最低金額の構造上、少額予算では手数料の割合が重くなりすぎますし、代理店側も十分な工数をかけられません。その予算なら、まず自分で小さく運用してみるか、MEOやSNSといった無料で始められる施策を先に固めるほうが、結果的に広告もうまくいきやすい。運用支援を売る立場でこれを書くのは矛盾しているようですが、成果の出ない契約は、お客様にとっても私たちにとっても不幸だからです。
二つめ。値引き交渉より、「任せる範囲」の交渉をおすすめします。手数料を削る交渉は、そのまま工数を削る交渉になりがちです。それよりも「レポートは簡易版でいいから、その分クリエイティブのテストに時間を使ってほしい」のように、限られた工数の使い道をすり合わせるほうが、同じ金額で得られる成果は大きくなると感じています。
三つめ。良い代理店は、ときどき断ります。「その予算なら、まだうちに頼む段階ではないと思います」と言ってくれる会社は、目先の契約より成果を見ています。逆に、どんな条件でも「できます」「必ず成果が出ます」と即答する会社には、少しだけ立ち止まってみてください。広告の成果は、誰にも保証できないものだからです。
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まとめ — 手数料は「相場との差」より「中身との釣り合い」で見る
この記事のポイントを整理します。
- 広告代理店の運用手数料は広告費の20%前後が一般的な水準(あくまで目安。作業範囲で変わる)
- 最低出稿金額・最低手数料・制作費の扱いで、実質的な負担は大きく変わる
- 手数料の正体は人件費。安さで選ぶと、工数が削られ「ほったらかし運用」になりやすい
- 見分けるポイントは3つ——レポートの中身・改善提案の頻度・アカウントの所有権
- 契約前の質問リストに誠実に答えてくれるかどうか自体が、判断材料になる
代理店選びは、料金表の比較ではなく、「この人たちは自社の広告費を自分ごととして扱ってくれるか」を見極める作業だと私たちは考えています。もし今、見積もりや既存の契約を前に迷っていることがあれば、セカンドオピニオンとしてのご相談でも構いません。選ばれる側の目線から、率直にお答えします。
よくある質問
手数料20%は高すぎますか?
広告費の20%前後は、業界で広く見られる一般的な水準です。ただし妥当かどうかは金額だけでは判断できず、その手数料に含まれる作業範囲によって変わります。レポートの中身や改善提案の頻度など、「20%で何をしてくれるのか」を確認した上で判断することをおすすめします。
広告費が少額でも代理店に依頼できますか?
多くの代理店には最低出稿金額や最低手数料が設定されており、広告費が少ない場合は実質的な手数料率が高くなる傾向があると言われています。月10万円前後までの予算であれば、まず自社運用や、MEO・SNSなど広告以外の施策から始める選択肢も検討する価値があると考えています。
代理店を乗り換えるときに気をつけることはありますか?
広告アカウントの所有権とデータの引き継ぎが最大のポイントです。アカウントが代理店名義の場合、解約時に過去の配信データや学習の蓄積を引き継げないケースがあります。乗り換えを考える前に、まず現在のアカウントの名義と、解約時に何を引き渡してもらえるのかを確認しておくと安心です。
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