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広告予算、GoogleとMetaにどう配分する?増額前に見る2つの数字

広告運用 2026.08.11

「広告費を増やしたのに、成果が出ない」

私たちがご相談をいただくとき、この言葉から始まることがよくあります。話を伺っていくと、Google広告とMeta広告の両方をすでに動かしていて、増やした予算を「なんとなく」片方に足していた、というケースが少なくありません。

媒体選びの記事はよく見かけます。ただ、両方動かしたあとの「配分をどうするか」の話は、あまり見当たらないように思います。実際にはこちらのほうが判断が難しい場面です。

この記事では、増額分をどちらに入れるかを決めるために見る2つの数字と、ケース別の配分の考え方を整理します。これから始める段階の方は、先にWeb広告の費用はいくらから?中小企業の相場と始め方をご覧いただくほうが早いかもしれません。

「増やしたのに成果が出ない」の多くは、配分の問題

広告費を増やして成果が伸びない場合、原因は大きく2つに分かれます。クリエイティブや導線に問題があるか、増やした先が間違っているか、です。

前者はよく語られます。一方で後者は見落とされやすい印象があります。というのも、増額の判断が「先月Googleのほうが調子が良かったから、Googleに足そう」という感覚で行われがちだからです。

ここには落とし穴があります。調子が良い媒体は、すでに出せるだけ出し切っている可能性があるからです。出し切っている媒体に予算を足しても、行き先がありません。結果として、費やした金額だけが増えます。

だからこそ、増やす前に「そもそも余地があるか」を確かめる必要があると考えています。

そもそも、2つの媒体は競合していない

配分を考える前提として、2つの媒体が何をしているかを整理しておきます。

Google検索広告は、検索している人に出ます。「山形市 外壁塗装」と打ち込んだ人に表示される広告です。つまり、すでに探している人の数が上限になります。

Meta広告(Facebook・Instagram)は、検索していない人に出ます。属性や興味関心をもとに配信されるため、まだ探していない人にも届くという性質があります。

この違いは、予算を足したときの挙動に直結します。検索広告は探している人がいなければ増えません。Meta広告は接触できる人がまだ残っていれば増える余地があります。

どちらが優れているという話ではなく、増やしたときの伸び方が違う、ということです。

見るべき数字①:検索広告の「取りこぼし」

1つ目は、検索広告で出しそこねている分がどれくらいあるかです。

Google広告には検索インプレッションシェアという指標があります。Google広告ヘルプでは「Impressions you've received among top ads divided by the estimated number of impressions you were eligible to receive among top ads」と定義されています(出典:Google 広告ヘルプ)。出せたはずの表示のうち、実際に出せた割合と考えるとわかりやすいかと思います。

あわせて見たいのが、損失率です。Google広告ヘルプでは、インプレッションシェア損失率(予算)について「how often your ad didn't show anywhere among top ads due to a low budget」と説明されています。予算が足りずに出せなかった頻度、ということです。

管理画面では、キャンペーン一覧の列にこれらを追加すると表示されます。

見る指標 何がわかるか
検索広告のインプレッションシェア 出せたはずのうち、実際に出せた割合
インプレッションシェア損失率(予算) 予算不足で出せなかった分
インプレッションシェア損失率(ランク) 広告ランクの低さで出せなかった分

ここで予算による損失が出ているなら、検索広告にはまだ行き先があります。逆に損失がほぼない場合、検索側に足しても表示は増えにくいことになります。この場合は、Meta広告側を検討する順序になります。

なお、損失がランク由来の場合は予算の問題ではありません。広告の品質やキーワードの見直しが先になるため、増額しても解決しないことがあります。

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見るべき数字②:媒体別のCPAと、その落とし穴

2つ目は、媒体ごとのコンバージョン単価(CPA)です。

Google広告ヘルプでは、平均コンバージョン単価は「広告経由で発生したコンバージョンに対して請求された金額の平均」であり、「コンバージョンの総費用をコンバージョンの総数で割って算出します」と定義されています(出典:Google 広告ヘルプ)。

一見すると、CPAが低いほうに寄せればいいように思えます。ただ、ここには注意したい点があります。

Meta広告の成果が、検索側の数字として現れることがあるからです。Meta広告で商品やお店を知った人が、その場では申し込まず、後日社名で検索して問い合わせる。この動きが起きると、成果は検索広告の側に計上されえます。Meta広告のCPAは実態より悪く見え、検索広告のCPAは実態より良く見えることになります。

私たちが数字を見るときは、この点を踏まえて判断するようにしています。媒体別のCPAだけで機械的に配分を決めると、認知をつくっていた側を削ってしまい、結果として全体が細っていくことがあるためです。

指名検索の件数が伸びているかどうかは、この判断の手がかりになります。Meta広告を動かしはじめてから社名での検索が増えているなら、数字に出ていない働きをしている可能性があります。

配分の考え方 — 3つのケース別

ここまでの2つの数字をもとに、ケースを整理します。

状況 増額の向き先 理由
予算による取りこぼしが出ている 検索広告を優先 探している人を逃している状態。埋めれば成果に直結しやすい
取りこぼしはないが、CV数を増やしたい Meta広告を検討 検索側は上限に近い。母数を増やすには検索前の層に接触する必要がある
取りこぼしがなく、CPAも悪化している 増額を一度止める 配分ではなく、導線やクリエイティブ側に原因がある可能性

3つ目のケースについて補足します。予算を増やす判断は、増やせば伸びる状態であることが前提です。そうでないときに増額すると、問題を先送りにしたまま費用だけが増えます。

このときに確認したいのは、広告のその先です。クリックされた後のページで離脱していないか、問い合わせフォームで止まっていないか。広告の外側に原因があることは少なくありません。

配分を変える前に確認したいこと

配分を動かす前に、確かめておきたいことが3つあります。

1つ目は、計測が正しく動いているかです。コンバージョンが二重に計測されていたり、逆に取れていなかったりすると、判断の土台が崩れます。数字を比べる前に、まず計測を疑うようにしています。

2つ目は、比較する期間が揃っているかです。片方が繁忙期、片方が閑散期の数字では比較になりません。同じ期間で並べることが前提になります。

3つ目は、変更を一度に複数やらないことです。配分と入札とクリエイティブを同時に変えると、何が効いたのかがわからなくなります。効果を確かめたいなら、変えるのは一つずつのほうが結果的に早いと考えています。

計測そのものの整え方は、GA4とサーチコンソール、まず何を見る?で整理しています。

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まとめ — 次の1万円をどこに入れるか

配分に決まった黄金比はありません。ただ、判断の順序は整理できます。

  • 「調子が良いほうに足す」は、出し切っている媒体に足してしまうことがある
  • まず検索広告の取りこぼし(インプレッションシェア損失率・予算)を見る。予算由来の損失があるなら、そこに行き先がある
  • 取りこぼしがないなら、母数を増やすためにMeta広告側を検討する
  • 媒体別のCPAは、そのまま鵜呑みにしない。Metaの働きが検索側の数字に出ていることがある
  • 取りこぼしがなくCPAも悪化しているなら、配分ではなく広告の外側を疑う
  • 動かす前に、計測・比較期間・変更点の数を確認する

次の1万円をどこに入れるか。その答えは媒体の優劣ではなく、自社の管理画面の中にあるというのが、私たちが現場で感じていることです。

広告とSNSをどう組み合わせるかという観点は、SNSと広告の使い分けでも整理しています。あわせてご覧いただけたらと思います。

よくある質問

予算配分はGoogleとMetaで何対何が正解ですか。

業種や商材によって変わるため、決まった黄金比はありません。判断の順序としては、まず検索広告で取りこぼしが出ているかを確認し、取りこぼしがあるならそちらを埋めることが優先されやすいと考えています。取りこぼしがない状態で検索側に足しても、配信量が増えにくいためです。

検索インプレッションシェアはどこで見られますか。

Google広告の管理画面で、キャンペーン一覧の列に「検索広告のインプレッションシェア」「インプレッションシェア損失率(予算)」を追加すると表示されます。損失率が予算によるものかランクによるものかで打ち手が変わるため、両方を並べて見ることをおすすめします。

媒体別のCPAが低いほうに寄せればいいのではないですか。

単純にそうとは言い切れないと考えています。Meta広告は検索していない層に接触するため、そこで名前を知った人が後日検索して申し込むといった経路が起きえます。この場合、成果が検索側の数字として計上されることがあり、媒体別のCPAだけでは判断を誤る可能性があります。

田中 稜子
Written by — 執筆

田中 稜子

Ad Consultant

CRAFHの広告運用コンサルタント。Google・Meta広告を中心に、企業の集客と費用対効果の改善を担当。会社情報を見る

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