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広告運用を自社でやるか外注するか|判断基準と分かれ目

広告運用 2026.07.18

「手数料を払うくらいなら自分でやったほうがいいのでは」。広告運用の相談を受けるとき、支援の現場でこの言葉を本当によく聞きます。一方で、「自分でやってみたが、本業が忙しくて管理画面を1ヶ月開いていない」という相談も、同じくらい多く受けます。

どちらの気持ちも、経営者として自然な感覚だと思います。問題は、自社運用か外注かを「手数料がもったいないかどうか」だけで決めてしまうことにあります。実際の分かれ目は、予算規模・かけられる時間・商材の性質という3つの条件にあるというのが、運用代行を仕事にしている私たちCRAFHの実感です。この記事では、代行会社のポジショントークにならないよう、自社運用に向く条件と外注に向く条件を正直に整理します。

この記事で分かること

  • 自社運用(インハウス)に向いている会社の3条件
  • 外注に向いている会社の条件と、外注の正直なデメリット
  • 手数料相場と「自社でやる場合の見えないコスト」の比べ方
  • 迷ったときの現実的な進め方「小さく自社で始めて、限界が見えたら外注」
  • 外注する場合でも必ず自社に残すべきもの

判断の軸は「手数料」ではなく「予算・時間・商材」の3つ

最初に、判断の枠組みを共有します。自社運用と外注のどちらが合うかは、次の3つの条件でほぼ決まると私たちは考えています。

1つ目は予算規模です。 広告運用の外注には手数料がかかります。広告費が小さいうちは、手数料の比率が相対的に重くなり、外注のメリットが出にくくなります。逆に広告費が大きくなるほど、運用の巧拙が成果に与える影響も大きくなり、プロに任せる価値が出やすくなります。

2つ目は学習と運用に使える時間です。 広告運用は「設定して終わり」ではありません。数字を見て、仮説を立てて、調整する。この繰り返しに毎週時間を使えるかどうかが、自社運用を続けられるかを左右します。

3つ目は商材のシンプルさです。 「地域名+業種」で検索されるような分かりやすい商売(例:地域の店舗・修理サービスなど)は、広告の構造も比較的シンプルに作れます。一方、商材の説明が難しい、検討期間が長い、ターゲットが絞りにくいといった場合は、媒体選定や訴求設計の難易度が上がり、経験の差が出やすくなります。

この3条件を表にすると、次のようになります。

条件 自社運用に向く 外注に向く
広告予算(月) 〜10万円程度の少額 20〜30万円以上、または今後増やす予定
かけられる時間 週5時間前後を継続的に確保できる 本業が忙しく、時間を捻出できない
商材の性質 「地域名+業種」で探されるシンプルな商売 説明が必要・検討期間が長い・競合が強い
社内の体制 数字を見るのが苦にならない担当者がいる 担当者が兼務で、退職・異動のリスクがある
目的 広告の知見を社内に貯めたい 早く成果を出したい・機会損失を減らしたい

すべてが片側に揃う会社はむしろ少数派で、実際には「予算は少ないが時間もない」のように条件が割れます。その場合の考え方は、後半で扱います。

自社運用に向いている会社 — 少額×シンプル×時間があるなら十分戦える

正直に言うと、すべての会社に外注が必要だとは私たちは考えていません。次の条件が揃う会社は、自社運用で十分に戦える可能性があります。

  • 広告費が月数万円〜10万円程度:この規模だと手数料の比率が重く、外注の費用対効果が出にくい
  • 商材がシンプル:「山形市 外壁塗装」のように、検索キーワードと商売が素直に結びつく
  • 担当者が週数時間を確保できる:最初の2〜3ヶ月は学習も含めて多めの時間が必要です

自社運用の最大のメリットは、手数料がかからないことに加えて、広告の知見が社内に貯まることです。どんな言葉で検索され、どんな訴求に反応があるのか。この一次情報は、広告以外の営業やサイト改善にも効いてきます。

学習リソースも、以前より格段に充実しています。媒体公式のGoogle 広告 ヘルプには、キャンペーンの作成手順から最適化の考え方までが日本語でまとまっており、少額運用の立ち上げなら公式情報だけでもかなりの部分をカバーできます。

一方で、自社運用のつまずきどころも支援の現場でよく見てきました。多いのは、設定したまま放置してしまうパターンです。広告は出しっぱなしでも配信され、費用も発生し続けます。「気づいたら成果の出ていないキーワードに半年間お金を使っていた」という状態は、少額運用で最も起きやすい失敗です。自社でやると決めたら、週1回・30分でも管理画面を見る習慣をセットにすることをおすすめします。

外注に向いている会社 — 手数料は「時間と機会損失を買う」費用

次に、外注が合うケースです。分かりやすいのは、先ほどの表の右側に条件が寄っている会社ですが、支援の現場で相談を受けていて「これは外注を検討したほうがいい」と感じる典型は次の2つです。

1つ目は、広告費が月20〜30万円を超えてきた、または超える計画がある場合です。 この規模になると、入札や配信設定の調整、クリエイティブの検証など、やるべきことの量と難易度が一段上がります。運用の巧拙による成果の差が手数料を上回る可能性が高くなり、外注の費用対効果が出やすくなります。

2つ目は、担当者の時間が本業を圧迫している場合です。 経営者自身が夜中に管理画面と格闘している、という状況は珍しくありません。その時間を営業や商品づくりに使ったほうが会社全体の利益になるなら、手数料は「時間を買う」費用として合理的だと考えられます。

ただし、外注にもデメリットはあります。運用代行を仕事にしている立場として、ここは隠さずに書いておきます。

  • 手数料がかかる:一般的には広告費の20%前後が目安とされ、月額の最低手数料(5〜10万円程度)が設定されていることも多いです。あくまで目安であり、会社や業務範囲によって幅があります
  • 社内にノウハウが残りにくい:任せきりにすると、契約を終えたとき手元に何も残らない可能性があります
  • コミュニケーションコストがかかる:商材やお客様の情報を伝える手間は、外注してもゼロにはなりません。むしろ最初の数ヶ月はここに時間がかかります
  • 会社によって品質の差が大きい:残念ながら、レポートを送るだけでほとんど調整をしていないケースも業界には存在します

手数料の相場観や、任せて大丈夫な会社の見極め方は、広告代理店の選び方|手数料相場と「良い代理店」の見分け方で詳しく解説しています。外注を検討する段階になったら、あわせてご覧ください。

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迷ったら「小さく自社で始めて、限界が見えたら外注」が現実的

「予算は少ないが時間もない」「どちらの条件にも当てはまりそう」——実際の相談では、こうした中間のケースが一番多いです。その場合に私たちがよくお伝えするのは、小さく自社で始めて、限界を感じた時点で外注に切り替えるという順番です。

この順番をおすすめする理由は2つあります。

1つ目は、少額でも自分で運用を経験すると、広告の相場観と手触りが身につくことです。1クリックにいくらかかるのか、問い合わせ1件を取るのがどれだけ大変なのか。これを肌で知っている経営者は、外注した後も代理店との会話が具体的になり、提案の良し悪しを自分で判断できるようになります。丸投げにならない土台が、この経験で作られます。

2つ目は、外注すべきタイミングが自分で分かることです。「設定を触る時間が取れなくなってきた」「予算を増やしたいが、この構成のままでいいのか判断できない」——こうした限界のサインは、自分で運用したことがあるからこそ気づけます。最初にいくらから始めるべきかは、Web広告の費用はいくらから?中小企業の相場と始め方で目安を整理していますので、参考にしてください。

逆に、最初から外注したほうがいいのは、繁忙期や新店オープンなど期限が決まっていて失敗できない場面です。学びながらの試行錯誤には時間がかかるため、締め切りがある勝負では経験を買うほうが合理的だと考えています。

外注しても丸投げしない — 数字だけは自分で見続ける

最後に、外注を選ぶ場合に一番お伝えしたいことを書きます。それは、運用は任せても、数字を見ることまで手放さないことです。

支援の現場で、以前の代理店との付き合い方を伺うと、「レポートは毎月届いていたが、正直ほとんど見ていなかった」という声が少なくありません。これは代理店側の説明不足でもありますが、丸投げの状態が続くと、成果が出ていないことに気づくのが遅れ、改善の要望も出せなくなります。

とはいえ、専門用語だらけのレポートを隅々まで読む必要はありません。経営者が毎月見るべき数字は、突き詰めると次の3つ程度です。

見るべき数字 意味 問いかけ
広告費 いくら使ったか 予算どおりか
問い合わせ数(CV) 何件の成果につながったか 先月と比べてどうか
獲得単価(CPA) 問い合わせ1件にいくらかかったか 1件あたりの利益に見合っているか

※CV(コンバージョン)は問い合わせや予約など「広告の成果」のこと、CPAはその1件を獲得するのにかかった費用のことです。

この3つを毎月確認し、「なぜこの数字になったのか」を運用会社に質問する。それだけで、任せきりとは緊張感がまったく変わります。良い運用会社ほど、この質問を歓迎するはずです。むしろ、質問への答えが曖昧なまま数ヶ月続くようであれば、パートナーの見直しを考えるサインかもしれません。

まとめ — 「自社か外注か」は一度きりの決断ではない

この記事のポイントを整理します。

  • 判断の軸は手数料の有無ではなく、予算規模・かけられる時間・商材のシンプルさの3つ
  • 少額予算×シンプルな商材×時間を確保できるなら、自社運用で十分戦える可能性がある
  • 広告費が月20〜30万円を超える、または本業を圧迫しているなら外注の費用対効果が出やすい
  • 手数料は広告費の20%前後+最低手数料が目安(あくまで目安。会社・業務範囲で幅がある)
  • 迷ったら「小さく自社で始めて、限界が見えたら外注」の順番が現実的
  • 外注しても、広告費・問い合わせ数・獲得単価の3つの数字だけは自分で見続ける

自社運用か外注かは、一度決めたら終わりの選択ではありません。事業の規模や体制が変われば、最適な形も変わります。今の自社がどの条件に当てはまるのか、この記事の表と照らして眺めてみていただければと思います。

「うちの場合はどちらが合うのか」を相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。現状の予算と体制を伺った上で、自社運用で始める場合の設計も含めてご提案します。

よくある質問

広告費が月5万円くらいでも外注できますか?

受けてくれる会社はありますが、最低手数料が月5〜10万円程度に設定されているケースが多く、広告費と手数料が同じくらいになってしまう可能性があります。この規模なら、まず自社で小さく運用しながら広告に慣れることをおすすめするケースが多いです。広告費を増やせる見込みが立った段階で外注を検討しても、遅くはないと考えています。

自社運用に必要な時間はどのくらいですか?

立ち上げ期は設定や学習も含めて週5〜10時間、軌道に乗った後も週2〜3時間程度は見ておくのが現実的な印象です。数字の確認だけなら短時間で済みますが、改善案を考えて反映する時間まで含めるとまとまった時間が必要になります。この時間を本業から捻出できるかどうかが、自社運用を続けられるかの分かれ目になりやすいです。

一度外注したら、あとから自社運用に切り替えられますか?

切り替えは可能ですし、実際に「外注で学びながら将来はインハウス化したい」という方針の会社もあります。ただし、広告アカウントの所有権が自社にあるか、運用の中身をレポートで開示してもらえるかを契約前に確認しておくことが重要です。アカウントが代理店名義だと、解約時に運用データという資産が手元に残らない可能性があります。

鈴木 啓晃
Written by — 執筆

鈴木 啓晃

代表 / CEO

2020年にCRAFHを創業。山形へのUターン後、地方企業のデジタルマーケティング支援に従事。Web広告・SEO・SNSを横断した成果づくりと地方創生事業を率いる。会社情報を見る

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