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BtoB中小企業のWebマーケ入門|問い合わせが少ない商材の戦い方

地方マーケ 2026.07.23

「うちみたいな仕事に、Webマーケなんて関係ないと思っていました」

支援の現場で、地方の製造業の社長さんから何度か言われた言葉です。金属加工、特殊な樹脂成形、業務用の卸、士業やコンサルのような専門サービス。取引は長年のお付き合いと紹介で回っていて、検索されるような商材でもない。だから、Webは自分たちの世界の話ではない、と。

その気持ちは、正直よく分かります。実際、BtoC(一般消費者向け)のやり方をそのまま持ち込んでも、BtoB(企業間取引)ではうまくいかないことが多いんです。私自身、最初はそこでずいぶん遠回りをしました。

でも、だからこそ問い直したいことがあります。検索されない商材は、本当にWebで戦えないのか。私は、戦い方がまるで違うだけだと考えています。

この記事で分かること

  • BtoBのWebマーケがBtoCと決定的に違う理由
  • 「検索されない商材」を見つけてもらうための考え方
  • 製造業・下請けがWebで取引先を広げる具体的な一歩
  • 展示会やSNSと組み合わせる「合わせ技」の発想
  • 地方から、下請けの立場を変えていくヒント

BtoBはBtoCと戦う場所が違う — 少ない検索を、深く取りにいく

まず押さえておきたいのは、BtoBとBtoCではWebマーケの前提がまるで違うということです。ここを混同したまま「SNSをやろう」「広告を回そう」と動くと、たいてい空回りします。

支援の現場で感じてきた違いを、表に整理してみました。

観点 BtoC(消費者向け) BtoB(企業向け)
検索する人の数 多い 少ない・ニッチ
検討期間 短い(その場で買う) 長い(数週間〜数ヶ月)
決める人 本人ひとり 複数人・稟議あり
響く内容 感情・共感・お得感 技術・実績・安心感
成果の測り方 購入・来店 問い合わせ・資料請求
勝ち筋 認知の広さ 見つけた1社への深さ

一番の違いは、右下の「勝ち筋」だと思っています。BtoCが「たくさんの人に知ってもらう」ゲームだとすれば、BtoBは「困って探している数少ない担当者に、深く刺さる」ゲームなんです。

検索の回数が月に数十回しかないキーワードでも、そこにいるのは今まさに発注先を探している人かもしれない。BtoCの感覚だと「そんな少ない数字、意味がない」と切り捨ててしまいます。でもBtoBでは、その一件が数百万円の取引につながることがある。数の大きさではなく、一件の重さで見る。ここが出発点だと考えています。

「検索されない商材」をどう見つけてもらうか — ニッチな一語を深掘りする

「うちの商品名で検索する人なんていない」。これもよく聞く声です。その通りだと思います。でも、お客様はあなたの商品名で探しているわけではありません。自分の困りごとで探しているんです。

たとえば「アルミ 薄板 小ロット 加工」「食品工場 向け 特殊 洗浄剤」「相続 事業承継 税理士 ○○市」。こういう、専門的で具体的な言葉。検索母数は小さいけれど、そのぶん競合も少なく、探している人の目的がはっきりしている。これがBtoBのキーワードの取り方です。

ここで一つ、地味だけど効くやり方を紹介します。既存のお客様に「何と検索して(あるいは何がきっかけで)うちを見つけましたか」と聞いてみること。支援の現場では、この一言から思いもよらないニッチキーワードが出てくることが何度もありました。社長の頭の中にある「専門用語」と、お客様が実際に打ち込む「困りごとの言葉」は、案外ズレているものなんです。

キーワードの見つけ方そのものは、SEOキーワード選定の基本で詳しく書いています。BtoBの場合は「検索ボリュームの大きさ」ではなく「一件の重さ」で選ぶ、という視点を足して読んでいただけると、より実践的になると思います。

技術ページと事例を「資産」として積み上げる — 一度書けば働き続けてくれる

BtoBのWebで一番強いのは、広告でも派手なSNSでもなく、地道な技術ページ事例ページだと考えています。

「こういう素材のこういう加工ができます」「この業種のこんな課題を、こう解決しました」。一つひとつは地味です。でも、これはお客様が発注前に必ず確認したい情報そのもの。しかも一度書けば、その後もずっとネット上で働き続けてくれる。広告のように、お金を止めた瞬間に消えたりはしません。

私がこれを「資産」と呼ぶのは、そういう理由です。今日書いた技術ページが、半年後に見知らぬ会社の購買担当者の目に留まって問い合わせにつながる。すぐには効かないけれど、積み上がるほど強くなる。地方の中小企業がじっくり戦うには、この蓄積型のやり方が一番相性がいいと考えています。

ただ、事例を書くときはお客様の許諾を必ず取ること。実名が出せないなら「ある食品メーカー様」といった形でも十分伝わります。ここは丁寧にいきたいところです。

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指名検索を作る — 「あの会社」で探してもらえる状態を目指す

もう一段先の話をします。BtoBで本当に強いのは、困りごとの言葉ではなく会社名そのもので検索されることです。「〇〇工業 見積もり」のように、名前で探してもらえる状態。これを「指名検索」と呼びます(その会社を指名して検索すること、という意味です)。

指名検索が生まれると何が変わるか。比較検討の土俵に、そもそも競合が乗ってこないんです。「あの会社に頼みたい」と決めた人が来るので、価格勝負にもなりにくい。下請けとして買い叩かれる構造から抜け出す、一つの道でもあると考えています。

では指名検索はどう作るのか。近道はありません。展示会で名刺を交換した相手が後で調べる。SNSで発信を見て名前を覚える。技術ページを読んで「ちゃんとした会社だ」と印象に残る。そうした接点の積み重ねが、じわじわと「あの会社」という記憶をつくっていきます。正直、時間はかかります。でも、地方から全国に取引を広げていくなら、ここを避けては通れないと思っています。

展示会・SNSとの合わせ技 — Webだけで完結させない

最後に、BtoBで見落とされがちな発想を一つ。Webマーケを「Web単体」で考えないことです。

BtoBの購買は、一つの接点だけで決まることはほとんどありません。展示会でパンフレットを受け取り、後日サイトで技術ページを確認し、SNSで発信の様子を見て、ようやく問い合わせる。バラバラの接点が重なって、初めて信頼になるんです。

だから、展示会は「その場の名刺交換で終わり」にするのが一番もったいない。展示会で興味を持ってくれた人が、帰ってから必ずあなたの会社を検索します。そのときに、しっかり作り込まれた技術ページや事例が待っているか。ここが受注の分かれ道になります。展示会とWebをつなぐ考え方は、展示会とWebをつなぐ集客でも触れています。

SNSも、BtoCのようにバズを狙う必要はありません。現場の加工風景、社員の技術へのこだわり、こうした地味な発信が「実在するちゃんとした会社だ」という安心を届けます。派手さより、続けることだと考えています。

そしてもう一つ。せっかく人が来ても、問い合わせフォームが分かりにくかったり、何を頼める会社か伝わらなかったりすると、そこで全部こぼれてしまう。受け皿としてのサイトの整え方は問い合わせが来ないホームページの見直し方にまとめています。合わせて見ていただけると、点が線になると思います。

なお、費用相場や統計に触れる場面もあると思いますが、業種や地域で大きく変わるため、あくまで目安として捉えてください。中小企業を取り巻く数字は中小企業庁の中小企業白書などで公開されています。数字を鵜呑みにせず、自社の状況に引きつけて読むのが大事だと考えています。

まとめ 〜 数の大きさではなく、一件の重さで戦う

BtoBのWebマーケは、BtoCとは別のゲームです。最後に要点を整理します。

  • BtoBは検索母数が小さく検討期間が長い。数の広さではなく、一件の重さで戦う
  • お客様は商品名でなく「困りごと」で探す。ニッチな一語を、既存客への聞き取りから見つける
  • 技術ページと事例は一度書けば働き続ける「資産」。地方の中小企業ほど蓄積型が効く
  • 指名検索を作れれば、価格勝負や下請けの構造から抜け出す道が見えてくる
  • 展示会・SNS・Webは合わせ技。バラバラの接点が重なって、初めて信頼になる

「うちには関係ない」と思っていた社長さんが、ニッチな技術ページを一本作ったことをきっかけに、それまで縁のなかった県外の会社から問い合わせをもらう。支援の現場で、そんな瞬間に何度も立ち会ってきました。地方の製造業や下請けが、立場を少しずつ変えていく。私はそこに、山形からできることがまだたくさんあると思っています。

何から手を付けるか迷ったら、まずは一度お話を聞かせてください。あなたの会社の「一件の重さ」がどこにあるのか、一緒に探すところからで大丈夫です。

よくある質問

BtoBは検索されないから、Webマーケは意味がないのでは?

検索の回数が少ないのは事実です。ただ、少ない検索の一つひとつが「困って探している担当者」だと考えると、価値はむしろ高いと思っています。母数の大きさより、深さで戦うのがBtoBだと考えています。

製造業の下請けでも、Webから元請け以外の取引先は増やせますか?

すぐに大量にとはいきませんが、技術や実績をページとして残していくと、少しずつ「この加工ができる会社」として見つけてもらえるようになります。支援の現場でも、時間はかかるが確かに問い合わせの質が変わっていく手応えを感じています。

何から手を付ければいいか分かりません。最初の一歩は?

まずは既存のお客様が「何と検索してあなたを見つけたか」を想像してみることだと思います。そのニッチな一語を軸にページを1本作る。そこからで十分だと考えています。

小川 智之
Written by — 執筆

小川 智之

CCO / Account Director

CRAFHのクリエイティブ・マーケティング領域を統括。広告運用・SNS・コンテンツ制作の現場で数多くの支援実績を持つ。支援実績を見る

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