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中小企業のChatGPT活用|明日から使える業務例と注意点

AI活用 2026.07.18

「ChatGPT、一度は触ってみたけれど、いつの間にか開かなくなった」——地方の中小企業の経営者や担当者の方から、この声を本当によく聞きます。理由を伺うと、多くの場合こう続きます。「検索と何が違うのか、よく分からなかった」。

実はこれ、能力の問題ではなく使い方の問題です。ChatGPTをはじめとする生成AI(文章や画像などを自動で作り出すAIの総称)は、検索窓のように「キーワードを入れて答えを探す道具」ではなく、「仕事を依頼する新人アシスタント」として扱ったときに力を発揮します。私たちCRAFH自身、日々の業務でAIを使い倒していますが、うまくいくかどうかの分かれ目はほぼここにあると感じています。この記事では、明日からそのまま真似できる業務例と、始める前に決めておきたい注意点を整理します。なお、ChatGPTを代表例として書きますが、Claude・Geminiなど他の生成AIでも考え方は同じです。

この記事で分かること

  • ChatGPTが「続かない」最大の原因
  • 「新人アシスタントへの依頼」として使うコツ(背景・役割・完成イメージ)
  • 明日から使える業務例と、業務別の依頼文のコツ一覧
  • 導入前に決めておきたい2つのルール(機密情報・事実確認)
  • 最初の一歩に向いている業務の選び方

使わなくなる原因は「検索窓」として使っているから

続かなかった方の使い方には、共通のパターンがあります。検索エンジンと同じ感覚で、「集客 方法」「補助金 申請」のような単語だけを入力しているのです。

検索は「すでに世の中にある情報を探す」道具なので、単語で十分です。一方、生成AIは「あなたの状況に合わせて新しい文章を作る」道具です。単語だけを渡すと、状況が分からないので誰にでも当てはまる一般論を返すしかありません。その結果、「なんだ、検索で出てくる記事と変わらないな」という印象になり、使わなくなる——これが典型的な離脱パターンです。

つまり、返ってくる答えの質は、こちらが渡す情報の量でほぼ決まります。道具の性能を引き出せていないだけで、道具そのものを見限るのは早い、というのが私たちの実感です。総務省が毎年公表している「情報通信白書」でも近年は生成AIの利用動向が継続的に取り上げられており(参照: 総務省「情報通信白書」)、業務での活用はもはや一部の大企業だけの話ではなくなりつつあります。

コツは「新人アシスタントへの依頼」— 背景・役割・完成イメージを渡す

では、どう使えばいいのか。私たちがおすすめしているのは、「優秀だけれど自社のことを何も知らない新人アシスタントに仕事を頼む」つもりで書くことです。

新人に仕事を頼むとき、「お礼メール」とだけ言う人はいません。「昨日ご来店いただいたお客様に、お礼と次回使えるご案内を送りたい。堅すぎない文面で、スマホで読める長さにしてほしい」——こう伝えるはずです。ChatGPTへの依頼文(プロンプトと呼ばれます)も、まったく同じ要領で書きます。ポイントは次の3つです。

  • 背景: 自分は何の会社の誰で、どんな状況か(例: 山形で工務店を営んでいます)
  • 役割: 相手に何の専門家として振る舞ってほしいか(例: あなたは広報の担当者です)
  • 完成イメージ: 誰向けに、どんなトーンで、どのくらいの長さか(例: 顧客向けに、丁寧だが柔らかく、300字で)

もうひとつ大事なのは、一往復で終わらせないことです。私たちも日常的にAIに文章のたたき台を作らせていますが、最初の出力は「6〜7割の出来」と割り切り、「もっと短く」「この一文は不要」と修正指示を重ねて仕上げています。新人の初稿に赤を入れる感覚に近い、と言うと伝わりやすいかもしれません。

明日から使える業務例 — 業務別・依頼文のコツ一覧

「うちの業務のどこで使えるのか」が見えないと始まらないので、中小企業で取り入れやすい業務例を、依頼文のコツとあわせて表にまとめます。

業務 依頼のコツ 渡すと精度が上がる情報
メール文面のたたき台 「誰に・何の用件で・どんなトーンか」をセットで伝える 相手との関係性、伝えたい要点の箇条書き
お知らせ・案内文 掲載場所(店頭・LINE・ホームページ)を指定する 日時・変更点などの事実情報、文字数の目安
議事メモの整理 「決定事項・宿題・担当者」の形式に整えるよう指定する 会議の走り書きメモ、参加者の役割
企画の壁打ち 「反対意見も挙げて」「抜けている視点を指摘して」と頼む 企画の目的、予算感、想定するお客様像
アンケート・口コミの要約 「よくある声を3グループに分けて」など切り口を指定する 回答の生テキスト(個人が特定できる情報は除く)

個人的に「最初の一歩」としておすすめしたいのは、議事メモの整理と企画の壁打ちです。メモの整理は正解がはっきりしているので失敗しにくく、壁打ちは「相談相手が社内にいない」という中小企業ならではの悩みに直接効きます。深夜でも休日でも、思いついた企画に「その場で反応が返ってくる」体験は、検索では得られなかったものだと感じています。

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使う前に決めておきたい2つのルール — 機密情報と事実確認

便利さの話の一方で、業務で使うなら先に決めておくべきことが2つあります。ここを曖昧にしたまま社内に広げるのは、おすすめしません。

1つ目は、機密情報・個人情報を入力しないことです。 顧客の氏名・連絡先、取引先との契約条件、社内の売上数値などは、原則として入力しない運用が基本です。入力内容がAIの学習に使われない設定も用意されていますが、設定に頼る前に「そもそも入れない」という線引きを決めておくほうが安全だと考えています。アンケートの要約を頼むときも、名前や電話番号を消してから渡す。私たちも業務でAIを常用しているからこそ、この一手間だけは省かないようにしています。

2つ目は、出力の事実確認は人間の責任、と決めておくことです。 生成AIは、事実と異なる内容をもっともらしい文章で出力することがあります(ハルシネーションと呼ばれる現象です)。数字・固有名詞・法律や制度に関する記述は、必ず一次情報にあたって確認してください。「AIがそう言っていたので」は、お客様にも取引先にも通用しません。たたき台はAI、最終責任は人間——この役割分担さえ守れば、リスクの多くはコントロールできると考えています。

迷ったら「文章を作る業務」から — 小さく始めて手応えをつかむ

最後に、どこから始めるかです。私たちは、まず「文章を作る業務」から始めることをおすすめしています。理由はシンプルで、発生頻度が高く、出来の良し悪しを自分で判断でき、失敗してもやり直しがきくからです。

中でもマーケティングまわりの文章——広告文、SNS投稿、お知らせ——は、AIとの相性がいい領域だと考えています。書く量が多く、反応という形で結果も見えやすいためです。なぜマーケティング業務が最初の一歩に向いているのかは中小企業のAI活用はマーケティングから始めると早い理由で詳しく解説しています。また、広告文やSNS投稿を実際にAIで作る手順と、出力をそのまま使わないための直し方は生成AIで広告文・SNS投稿を作る方法と「そのまま使わない」コツにまとめていますので、あわせて読んでいただくとイメージが具体的になるはずです。

逆に、最初の題材として避けたほうがいいのは、契約書のチェックや税務判断など「間違いが許されない業務」です。慣れないうちは、間違いに気づける自信のある業務だけに絞る。この順番を守るだけで、つまずく確率はかなり下げられる印象です。

まとめ — 「検索」をやめて「依頼」に変える

この記事のポイントを整理します。

  • ChatGPTが続かない最大の原因は、検索窓と同じ感覚で単語だけを入力していること
  • 「自社を知らない新人アシスタントへの依頼」として、背景・役割・完成イメージをセットで渡す
  • 最初の出力は6〜7割と割り切り、修正指示を重ねて仕上げる前提で使う
  • 業務例はメール文面・お知らせ文・議事メモ整理・企画の壁打ち・アンケート要約から始めやすい
  • 導入前に「機密情報・個人情報を入力しない」「出力の事実確認は人間の責任」の2つを必ず決める
  • 最初の題材は、間違いに自分で気づける「文章を作る業務」に絞る

道具は同じでも、渡し方ひとつで返ってくるものは大きく変わります。一度離れてしまった方こそ、今日紹介した「依頼の型」で、もう一度だけ試してみていただければと思います。

「自社のどの業務から始めるべきか」「社内ルールをどう作ればいいか」を相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。日々の業務でAIを使い込んでいる立場から、現実的な始め方をご提案します。

よくある質問

無料版のままで業務に使えますか?有料版にすべきですか?

まずは無料版で「依頼の仕方」に慣れるところから始めて問題ないと考えています。メール文面や議事メモの整理といった日常業務なら、無料版でも十分に手応えを感じられるケースが多い印象です。毎日何度も使うようになり、回数制限や処理の速さが気になり始めたタイミングで有料版を検討する、という順番が現実的です。金額や機能は変わることがあるので、あくまで目安として捉えてください。

回答が的外れなとき、どうすればいいですか?

最初の回答が期待と違うのは普通のことで、そこで閉じてしまうのが一番もったいない使い方です。まず疑うべきは依頼文で、「誰向けか」「何のためか」「どんな形で欲しいか」のどれかが抜けていないかを確認してみてください。そのうえで「もっと短く」「専門用語を減らして」のように、同じ会話の中で修正指示を重ねるのがコツです。一往復で完成品を求めず、新人に修正をお願いする感覚で2〜3往復する前提で使うことをおすすめします。

社員にも使わせたい場合、最初に何を決めればいいですか?

一番先に決めるべきは「入力してはいけない情報」のルールだと考えています。顧客名・個人情報・取引条件などの機密情報は入力しない、という線引きを文章にして共有するだけでも、リスクは大きく下げられます。あわせて「AIの出力をそのまま社外に出さない。最終確認は人間が行う」という責任の所在も明文化しておくと安心です。細かいマニュアルより、この2点を先に決めて小さく始めるほうが定着しやすい印象です。

鈴木 啓晃
Written by — 執筆

鈴木 啓晃

代表 / CEO

2020年にCRAFHを創業。山形へのUターン後、地方企業のデジタルマーケティング支援に従事。Web広告・SEO・SNSを横断した成果づくりと地方創生事業を率いる。会社情報を見る

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