「チラシって、もう効果ないですよね?」——支援の現場で、地方の経営者の方からこの質問を本当によく受けます。長年続けてきた折込チラシの反応が落ちてきた。かといってWeb広告はよく分からない。周りは「これからはネットの時代」と言う。どちらを信じればいいのか、という迷いです。
先に私たちの考えをお伝えすると、チラシは「終わった施策」ではありません。反応が落ちたと感じる原因の多くは、チラシそのものの寿命ではなく、届けたい相手とチラシが届く相手のズレにあります。この記事では、チラシとWeb広告それぞれが強い場面を整理した上で、地方商圏ならではの組み合わせ方まで解説します。
この記事で分かること
- 「チラシは効果がない」と言われるようになった本当の背景
- チラシとWeb広告の特性比較(届く相手・費用・測定のしやすさ)
- チラシが今も強い4つの場面と、Web広告が強い3つの場面
- QRコードで「測れるチラシ」に変える方法
- 「チラシで認知→Webで受け皿」という地方商圏向けの組み合わせ方
「チラシは効果がない」は半分正しく、半分間違い
まず、なぜ「チラシは効果がない」と言われるようになったのかを整理します。
背景にあるのは、情報との接点の変化です。新聞の購読世帯は年々減っており、特に若い世代では新聞を取っていない家庭が珍しくなくなりました。総務省の通信利用動向調査では、スマートフォンを保有する世帯は9割を超えています(参照: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」)。若い世代ほど、お店や商品を探すときの起点がスマホになっているのは間違いありません。
つまり「新聞折込チラシが40代以下に届きにくくなった」のは事実です。ここだけを見れば「チラシは効果がない」は正しく聞こえます。
一方で、見落とされがちな事実もあります。地方の商圏では、今も新聞を購読し、折込チラシを毎朝チェックする習慣を持つ世帯が一定の割合で存在します。特に60代以上が主要客層の業種——医療・介護関連、食品スーパー、リフォーム、仏事関連など——では、チラシが依然として主力の集客チャネルとして機能しているケースを、支援の現場で実際に見てきました。
「チラシは効果がない」のではなく、「誰に届けたいかによって、効く・効かないがはっきり分かれる時代になった」。これが実態に近い整理だと私たちは考えています。
チラシとWeb広告の特性比較 — 5つの視点で違いを見る
では、両者は具体的に何が違うのか。5つの視点で比較します。
※費用や効果はあくまで目安で、業種・商圏・クリエイティブによって大きく変わります。
こうして並べると、優劣ではなく得意分野の違いであることが分かります。「エリア内の世帯にまんべんなく紙で届ける」チラシと、「興味を持ちそうな人にスマホの中で届ける」Web広告。競合ではなく、役割の異なる道具です。
チラシが今も強い場面 — 高齢層商圏・地域密着・開店告知
支援の現場での実感も踏まえると、チラシが今も力を発揮しやすいのは次の4つの場面です。
- 主要客層が60代以上の商売: 新聞購読率が相対的に高く、紙の情報を信頼する層に、生活習慣の中で自然に届きます
- 商圏が狭い地域密着型の業種: 店の周辺数キロだけに届けたい場合、丁目単位で配れるポスティングは無駄が少ない手段です
- 開店・リニューアルの告知: 「この地域に新しくできた」ことを、スマホを見ない層も含めて面で一斉に知らせたい場面では、紙の一斉配布に分があります
- 手元に残してほしい情報: クーポンや診療時間表など、冷蔵庫に貼っておいてもらえるのは紙ならではの強みです
共通するのは、「エリアの全世帯に、確実に、物理的に届く」という性質が活きる場面だということです。Web広告は興味のありそうな人を狙い撃ちできる反面、スマホをあまり使わない層には原理的に届きません。地方の商圏構成によっては、この「届かない層」が主要客層そのものであるケースがあります。
Web広告が強い場面 — 検索される商材・若い客層・効果測定
一方、Web広告が力を発揮しやすいのは次の3つの場面です。
- お客様が「検索して選ぶ」商材: リフォーム、習い事、歯科、車の修理など、比較検討してから決める商材は、検索した瞬間に表示できる検索広告と相性が良い分野です
- 主要客層が40代以下: 情報接点がスマホ中心の世代には、チラシよりSNS広告や検索広告のほうが接触機会を作りやすいと考えられます
- 効果を測りながら改善したい場合: 何回表示され、何人がクリックし、何件問い合わせにつながったかが数値で残るため、「続けるか、やめるか、変えるか」を根拠を持って判断できます
3つ目の「測れる」ことは、予算の限られた中小企業にとって特に大きな意味を持ちます。効果が見えない施策に出し続けるのは不安ですが、数字が見えれば少額からでも改善を重ねられるからです。Web広告にいくらから取り組めるのか、費用感の詳細はWeb広告の費用はいくらから?中小企業の相場と始め方で解説しています。
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組み合わせ技① — QRコードで「測れるチラシ」に変える
ここからが本題です。チラシかWebかの二択ではなく、組み合わせることで両者の弱点を補い合えます。
1つ目の組み合わせは、チラシにQRコードを載せて、Webの計測力をチラシに持ち込む方法です。
チラシ最大の弱点は「何人に効いたのか分からない」ことでした。そこで、チラシに自社サイトやLINE登録へのQRコードを載せ、QRコードのリンクに計測用のパラメータ(どの経路から来たかをアクセス解析で区別するための目印)を付けておきます。すると「今回のチラシから何人がサイトを見に来たか」が数字で分かるようになります。
支援の現場でこの仕組みをご提案すると、「初めてチラシの反応が数字で見えた」と驚かれることがあります。配布エリアごとにQRコードを分ければ、「どの地区の反応が良いか」まで見える可能性もあります。反応の良いエリアに配布を寄せていけば、同じ予算でもチラシの精度は上げられます。
QRコードのほかにも、「チラシ持参で〇〇」のクーポンや、チラシ専用のLINE登録特典など、チラシ経由だと分かる仕掛けはいくつもあります。大切なのは、測れない状態のままチラシの効果を議論しないことです。
組み合わせ技② — チラシで認知、Webで検索の受け皿を作る
2つ目の組み合わせは、チラシとWebで役割を分担させる方法です。
チラシを受け取った人の行動を想像してみてください。興味を持った人ほど、すぐ電話するのではなく、まず店名やサービス名をスマホで検索します。このとき、検索結果に情報の整ったサイトやGoogleマップの店舗情報が出てくるかどうかで、その後の行動は変わり得ます。何も出てこなければ、せっかくチラシで生まれた興味がそこで途切れてしまうかもしれません。
つまり、チラシは「知ってもらう」役、Webは「調べられたときに受け止める」役という分担です。具体的には次のような設計になります。
- チラシで商圏内の世帯に一斉に認知を届ける(スマホを使わない層にも届く)
- 興味を持った人が検索したときのために、サイト・Googleビジネスプロフィールを整えておく
- さらに検索広告を出しておけば、社名を思い出せず「地域名+業種」で探した人も受け止められる
この設計なら、チラシの「面で届く力」とWebの「調べた人を逃さない力」の両方が活きます。逆に、受け皿を整えないままチラシだけを増やすのは、穴の空いたバケツに水を注ぐことになりかねません。チラシ以外も含めた集客導線の全体設計は、地方企業の集客方法まとめ|デジタルで「商圏で一番」になる考え方で詳しく整理しています。
地方こそ「どっちか」ではなく「両方の選択肢」を持つ
最後に、地方商圏ならではの視点をお伝えします。
地方の商圏は、都市部に比べて年齢構成の幅が広く、同じ商圏の中に「毎朝新聞を読む80代」と「スマホしか見ない30代」が同居しています。つまり、チラシだけでは若い層を取りこぼし、Web広告だけでは高齢層を取りこぼす構造が、都市部以上にはっきり出やすいのです。
支援の現場でも、「Web広告を始めたのでチラシは全部やめた」という判断の後、高齢のお客様の来店がじわじわ減っていた——という相談を受けたことがあります。逆に、チラシ一本で「若い世帯からの新規がほとんどない」と悩む事業者の方も少なくありません。どちらも、片方の道具しか持っていないことが原因です。
幸い、地方の商圏は広くありません。配布コストも配信対象も限られる分、少額ずつ両方を試し、自社の商圏でどちらがどう効くかを確かめることが、都市部よりも現実的にやりやすい環境だと私たちは考えています。
まとめ — チラシとWeb広告は、対立ではなく分担
この記事のポイントを整理します。
- 「チラシは効果がない」のではなく、届けたい相手によって効く・効かないが分かれる時代になった
- チラシは「高齢層・地域密着・開店告知・手元に残す」場面で今も強い
- Web広告は「検索される商材・若い客層・効果測定」の場面で強い
- QRコードやクーポンで「測れるチラシ」に変えれば、チラシも数字で改善できる
- 「チラシで認知→Webで検索の受け皿」の分担が、年齢構成の幅広い地方商圏では特に有効
- 地方こそ、どちらか一方ではなく両方の選択肢を持つことがリスクを減らす
チラシを続けるべきか、Web広告に切り替えるべきか。その答えは業種と商圏のお客様構成によって変わるため、一般論では決められません。「うちの商圏ならどう組み合わせるべきか」を相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。現状の集客手段とお客様層を伺った上で、無理のない組み合わせをご提案します。
よくある質問
チラシとWeb広告、予算が少ない場合はどちらから始めるべきですか?
お客様の年齢層と行動から考えることをおすすめします。主要客層が60代以上で商圏が店の周辺数キロに収まるならチラシから、40代以下が中心だったり「検索して選ばれる」商材ならWeb広告から試すのが現実的です。ただしどちらも一度で判断せず、小さく出して反応を見ながら調整することが大切です。迷う場合は、少額ずつ両方試して自社の商圏での手応えを比べる方法もあります。
チラシの効果はどうやって測ればいいですか?
「チラシ限定クーポン」「QRコード」「チラシ専用の電話番号やLINE」など、チラシ経由だと分かる仕掛けを必ず1つ入れることをおすすめします。QRコードに計測用のパラメータを付ければ、何人がチラシからサイトを見たかをアクセス解析で確認できます。来店時に「何を見て知ったか」を聞く声かけも、地道ですが有効です。仕掛けのないチラシは、効果があってもなくても検証のしようがなくなってしまいます。
新聞折込とポスティングはどちらがいいですか?
届けたい相手によって変わります。新聞折込は購読層である高齢の世帯に届きやすい一方、新聞を取っていない若い世帯にはそもそも届きません。ポスティングは配布エリアを細かく選べるため、新聞購読の有無に関わらず商圏内の世帯へ届けたい場合に向いています。主要客層の年代と商圏の広さを踏まえて選び、可能なら小規模に両方試して反応を比べるのが確実だと考えています。
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