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マーケティング・ブランディングのチーム編成|規模別に見る役割分担と増員のタイミング

地方マーケ 2026.08.01

「うちも人を増やすべきなんでしょうか」。マーケティングとブランディングの両方を担当している方から、こう相談されることがあります。多くの場合、その背景にあるのは「1人で回しきれなくなってきた」という実感と、「でも、今のままでも何とかなっている気もする」という迷いです。

先に結論からお伝えすると、人を増やすことは目的ではありません。増員は、機能の衝突が慢性化して初めて検討する「選択肢の1つ」であり、最初に打つ手ではないというのが私たちの立場です。この記事では、マーケティングとブランディングの違い同じチームでの回し方に続く3本目として、マーケティング・ブランディングの活動を機能に分解し、規模別にどう役割を持たせるか、そして増やす前にできることと、それでも増やすなら何から分けるべきかを整理します。

この記事で分かること

  • マーケティング・ブランディング活動を6つの機能に分解する考え方
  • 人を増やす前に、今の体制のままできること
  • 1人〜10人規模、各段階での役割分担と会議体の目安
  • 「まだ増やさなくていい」サインと「そろそろ分けるべき」サインの見分け方
  • 増員するなら、何の機能から分けるのが効果的か

マーケティング・ブランディングは6つの機能でできている

規模の話をする前に、まず「何を分けるのか」を整理します。多くの会社では、マーケティングとブランディングをひとかたまりの業務として捉えがちですが、実際には性質の異なる複数の機能の集合です。支援の現場でよく使う分解は、次の6つです。

機能 内容
①広告運用 広告の出稿・入札・予算管理・レポーティング
②コンテンツ制作 ブログ・SNS投稿・LPの文章など、言葉をつくる仕事
③クリエイティブ制作 デザイン・写真・動画など、見た目をつくる仕事
④ブランド管理 トーン&マナー・世界観の一貫性を最終チェックする役割
⑤分析・進行管理 数字の確認・進行表の管理・優先順位の意思決定
⑥外部窓口・発注管理 代理店・フリーランスとのやり取り・発注判断

「マーケ担当」「広報担当」という肩書きで人を採用・配置する前に、この6機能のうちどれを誰が持っているのかを一度書き出してみることをおすすめします。1人がすべてを持っている状態も、5人いるのに特定の機能を誰も持っていない状態も、実務では起こり得ます。

増やす前にできること — 前回の記事の要点から

体制を語る前に、まず確認したいのは「今の人数のままでできることを尽くしたか」です。前回の記事では、噛み合わないチームの多くが、人員不足ではなく「基準がない」ことが原因だと整理しました。要点を振り返ります。

  • 短期の数字とブランド一貫性が衝突したときの優先順位を、事前にルール化する(その場の議論に頼らない)
  • ブランディングの成果を、CPA・CVだけで評価しない。指名検索数・レビュー内容・リピート率などの代理指標を最低1つ置く
  • 週次で回る広告と、四半期で効くブランディングを、同じ進行表に時間軸を分けて並べる
  • トンマナを守る役割は専任でなくてよい。最終チェックの責任者を1人(兼任でも)決めておく

この4つのルールを試さないまま「人が足りないから」と増員を検討すると、増えた人数の分だけ調整の手間が増え、むしろ噛み合わなくなるケースを支援の現場でよく見ます。人を増やす判断は、この4つを実践した上で、それでも回らない場合に検討するのが順番として合理的です。

規模別の編成表 — 1人から10人規模まで

ここからが本題です。規模の段階は、事業の売上規模ではなく「マーケ・ブランディングに使える人的リソースの実態」で区切ります。地方の中小企業の実態に合わせ、フルタイム専任を前提にせず、兼務・業務委託・パートタイムを含めた現実的な構成として整理します。以下の人数・配分は目安であり、業種や事業フェーズによって幅があることを前提に読んでください。

フェーズ0:1人 フェーズ1:2〜3人 フェーズ2:5人前後 フェーズ3:10人規模
役割の持ち方 6機能すべてを1人が兼務 実務系(①③)と発信・判断系(②④⑤)で2人に分け、⑥は代表が兼任することが多い 3〜4機能に担当がつく。広告運用1人、コンテンツ+クリエイティブ1〜2人、ブランド管理はリーダー格が兼務、分析・進行管理を専任またはリーダー兼務 6機能それぞれに主担当がつき始める。ブランド管理・分析がこの段階で初めて専任化の候補になる
会議体 会議体は不要。週1回、優先モードを自分で確認する時間を10分でも固定する 週次(数字確認・当面の優先順位)+月次(ブランド代理指標・進行表の見直し)の2層 週次(実務チームの数字確認)+月次(機能横断の共有)+四半期(ブランド指標・戦略見直し)の3層 週次・月次に加え、四半期に経営層を交えた意思決定会議を設置。承認フローも簡易的に文書化される
意思決定の権限 本人がすべて決める。ルールを事前に決めておくことが唯一の担保 代表またはリーダー格1人に最終判断権限を集約 ブランド管理担当に「トンマナの最終判断権」、分析担当に「数字の最終判断権」を分け、衝突時のみ代表が裁く三層構造にすると機能しやすい傾向 機能ごとの権限委譲が進み、経営層は四半期の方針決定に専念できる状態が目安
外部委託の目安 専門性が高く発生頻度が低い機能(クリエイティブの一部等)から外部化。意思決定に直結する機能は内製が基本 クリエイティブ、広告アカウント設計等の専門性の高い一部を外部委託しやすい。ブランドの最終判断は内製に残す 定型業務(バナー量産・定例レポート等)は内製化を検討し、単発・専門性の高い業務は外部を継続活用 内製比率が最も上がる段階だが、特定媒体運用やCI/VI設計に特化した外部パートナーは併用価値がある

兼任してよい組み合わせ、避けたい組み合わせ

規模を問わず共通して見られる傾向として、機能の組み合わせには相性があります。

兼任しやすい組み合わせ - ②コンテンツ制作×④ブランド管理(言葉をつくる人がトーンも見ると一貫しやすい) - ①広告運用×⑤分析・進行管理(数字を扱う機能同士は同じ人が持ちやすい) - ②コンテンツ×③クリエイティブ(言葉とビジュアルを1人が一貫してつくると世界観がぶれにくい)

避けたい組み合わせ - ①広告運用×④ブランド管理を同じ人が「最終判断者」として兼ねる場合は特に注意が必要です。 短期の数字を追う人が、ブランドの一貫性の最終チェックも兼ねると、多くの場合は数字が優先され、ブランドの一貫性が崩れていく傾向があります。小規模で兼務が避けられない場合でも、前回の記事で触れた「優先順位の事前ルール」を必ずセットで運用してください - ⑤分析・進行管理と④ブランド管理を同一人物が担う場合も、効果が見えにくいブランディング施策が数字担当の主観で軽視されやすくなります。KPIを分けて持つ運用でカバーする発想が必要です

次の段階に進むトリガー — 増やすサイン、まだ増やさなくていいサイン

体制を変えるかどうかは、感覚ではなく次のような具体的なサインで判断することをおすすめします。

判断軸 分けるべきサイン まだ増やさなくていいサイン
業務量 1人が抱える機能のうち、恒常的に手が回らず後回しになっているものが2つ以上ある状態が3ヶ月以上続く 手が回らない状態が繁忙期など一時的で、落ち着けば元に戻る
判断の質 短期の数字とブランドの一貫性が衝突する頻度が増え、その都度の判断で疲弊している。ルールを作っても守れていない 衝突自体が稀、またはルール化で対応できている
成果の伸び悩み 広告運用は問題ないのに指名検索・リピートが伸びず、原因がブランド管理に割ける時間の不足だと明確に言える 伸び悩みの原因が人員ではなく施策・予算配分にある(この場合は増員より配分見直しが先)
外部依存 外部委託の範囲が広がり続け、発注管理・品質チェックの工数がボトルネックになっている 外部委託先との連携がスムーズで、内製化の必要性を感じていない

これらのサインが複数当てはまり、かつ「増やす前にできること」を一通り試した上でも解消しないとき、初めて増員・役割分担の見直しを検討するタイミングだと考えています。

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増員するなら何から分けるか — 優先順位

体制を分けると決めた場合、どの機能から分けるべきかにも順番があります。すべてを一度に分けようとすると、今度は連携コストが増えて機能不全に陥りやすいため、支援の現場では次の順番をおすすめしています。

  1. まず②③(コンテンツ・クリエイティブ制作)を分ける。 支援の現場で最初に限界が来るのは、多くの場合この制作機能です。発信量・制作量は事業の成長に比例して増えていく一方、1本あたりにかかる時間はあまり短くなりません。「判断はできているのに、単純に手が回らない」という状態で最初に詰まるのがここです
  2. 次に⑤分析・進行管理を分ける。 数字とブランド、両方を客観的に見る役割を意思決定者から独立させることで、衝突の判断が属人的な感覚から仕組みに変わります。制作を分けても判断の質が上がらない場合は、この機能が不足しているサインだと考えられます
  3. 最後に④ブランド管理を専任化する。 ①広告運用の担当から独立させることで、短期の数字にブランドの一貫性が押し流されるのを防ぎやすくなります。ただし前述の通り、専任化しなくても「最終チェックの責任者を1人決めておく」運用で当面はカバーできる機能でもあります

順番に意味があるのは、制作を抱えたまま判断機能や管理機能を増やしても、ボトルネックが解消されないためです。手が回らない状態が続いているときに管理側の人を増やすと、かえって調整の手間だけが増えることもあります。まずは「詰まっているのが手なのか、判断なのか」を切り分けてから、分ける機能を決めることをおすすめします。

なお①広告運用は、多くの場合フェーズ0〜1の時点で既に外部委託されているケースが多く、「最初に増やす社内機能」の対象になりにくい傾向があります。

まとめ — 増やす前に尽くし、増やすなら制作機能から

この記事のポイントを整理します。

  • マーケティング・ブランディングの活動は、広告運用・コンテンツ制作・クリエイティブ制作・ブランド管理・分析進行管理・外部窓口の6機能に分解できる
  • 増員を検討する前に、優先順位ルールの明文化・ブランディングの代理指標の設定・進行表の統合・最終チェック役の明確化という4つを試す
  • 規模はフルタイム専任を前提にせず、兼務・業務委託・パートタイムを含めて考える。1人〜10人規模のどの段階でも、①広告運用と④ブランド管理を同じ人が最終判断者として兼ねる組み合わせには注意が必要
  • 業務量・判断の質・成果の伸び悩み・外部依存の4つのサインが重なったときが、体制を見直す検討タイミング
  • 増やすなら、まず②③コンテンツ・クリエイティブ制作から分ける。最初に限界が来るのは多くの場合この機能。判断の質が課題なら⑤分析・進行管理、数字にブランドが押されているなら④ブランド管理を、その次に検討する

体制を大きくすることが、必ずしも成果につながるわけではありません。私たちCRAFHは、体制を大きくすることを勧める代理店ではなく、今の人数のままで噛み合わせる設計を一緒に考える立場でありたいと考えています。

「今の人数のまま、どのルールから先に決めるべきか整理したい」という方も、「そろそろ体制を見直すべきか、判断材料が欲しい」という方も、どちらのご相談も歓迎しています。目的に応じて、以下のような打ち手が考えられます。

  • 短期の数字と長期のブランドの優先順位ルールを整理したい → まずは同じチームでの回し方の記事を参考に、進行表と評価指標の見直しから
  • ブランディング側の評価指標をどう置くべきか相談したい → 指名検索・レビュー内容など、自社に合う代理指標の設計をご相談ください
  • 体制そのものを見直すべきか判断したい → 現状の機能分担を一緒に棚卸しした上で、増員の要否をご提案します

「うちの場合、今の体制でどこまで回せるか」を相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。現状の人数と機能分担を伺った上で、増やす前にできることから整理します。

よくある質問

マーケティングとブランディングは、専任担当を置かないと成立しませんか?

必ずしもそうではないと考えています。1〜3人規模の会社では、兼任のまま優先順位のルールと評価指標さえ先に決めておけば十分に回せるケースが多いです。専任化は、機能の衝突が慢性化してから検討しても遅くありません。

人を増やすなら、最初に何を分けるべきですか?

支援の現場で見ている限り、最初に限界が来るのはコンテンツ制作・クリエイティブ制作の機能です。発信量や制作量は事業の成長に比例して増える一方で、1本あたりにかかる時間はあまり短くならないためです。まずは「詰まっているのが手なのか、判断なのか」を切り分けてください。手が回らないなら制作機能から、判断が属人的になっているなら分析・進行管理から分けることをおすすめします。

5人、10人規模でも、全員フルタイムの専任である必要がありますか?

必要はないと考えています。地方の中小企業では、業務委託やパートタイムのメンバーを組み合わせながら機能を分担しているケースが多く見られます。人数の目安はあくまで「機能を持てる頭数」であり、雇用形態を問いません。

鈴木 啓晃
Written by — 執筆

鈴木 啓晃

代表 / CEO

2020年にCRAFHを創業。山形へのUターン後、地方企業のデジタルマーケティング支援に従事。Web広告・SEO・SNSを横断した成果づくりと地方創生事業を率いる。会社情報を見る

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