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地方中小企業のSNS採用|応募が来ない会社の採用広報の始め方

SNS 2026.07.18

求人サイトに掲載しても、応募がほとんど来ない。ようやく来ても、面接で「思っていた会社と違いました」とすれ違ってしまう。地方の中小企業の経営者から、こうしたご相談を受けることが本当に増えました。

原因は給与や待遇だけではないかもしれません。今の求職者は、応募する前にスマホで会社を調べます。ホームページだけでなく、SNSも見ます。そこに何も出てこない会社は、条件を比較される前に「よく分からない会社」として候補から外れてしまうことがあります。逆に言えば、求人票では伝わらない「社風」や「働く人の顔」を発信できれば、知名度で大手に勝てない地方の中小企業にも十分に戦い方がある、ということです。

この記事では、地方企業のSNS活用を支援してきた経験をもとに、採用のためのSNS発信——いわゆる採用広報の始め方を解説します。

この記事で分かること

  • 求職者が応募前に企業のSNSを見ているという行動変化(調査データ付き)
  • 採用広報と求人票の役割の違い
  • 地方中小企業に合った媒体の選び方
  • 投稿ネタの具体例と、やりがちな失敗
  • 少人数でも「続く」体制のつくり方

求職者は応募前に、あなたの会社を「検索」している

まず、なぜ採用にSNSなのか。感覚論ではなく、調査データから見ていきます。

就活生・新卒社会人400人を対象にした調査では、82.3%が企業選びでSNSを参考にしたと回答しています。同じ調査では、SNSアカウントがない企業は「働くイメージが湧きにくい」という声も報告されています(参照: Infoseekニュース「【就活生・新卒社会人400人調査】SNSアカウントがない企業は『働くイメージが湧きにくい』。82.3%が企業選びで"SNSを参考にした"と回答。」)。

別の調査でも、企業のSNSをチェックしたことのある就活生は63%にのぼり、見られている媒体はInstagram(40.4%)・YouTube(36.1%)・X(35.1%)が中心でした(参照: PR TIMES「【採用担当者は必見】就活生の6割が企業SNSをチェック。Z世代の意思決定に影響する"見えない評価軸"とは?」)。さらに、就活生・社会人の約8割が「企業のSNS情報で志望度が変化した」と答えた調査もあります(参照: Thinkings「就職活動・転職活動におけるSNS利用実態調査のレポートを公開」)。

注目したいのは、「見られて終わり」ではないことです。企業のSNSを見た就活生のうち41.8%が説明会に参加し、41.5%が企業HPを詳しく調べたという調査結果もあります(参照: 時事ドットコム「【就活生・新卒社会人400人調査】企業SNSは"見られて終わり"ではない?」)。SNSは、次の行動につながる入り口になっているわけです。

これらの調査は新卒の就活生が中心ですが、応募前に会社を検索する行動そのものは、転職者にも広がっていると言われています。発信がゼロの会社は、この「応募前の検索」に何も答えられない状態だと言えます。

採用広報とは — 求人票では伝わらないものを伝える仕事

採用広報とは、求人票に書けない会社の中身——社風・働く人・仕事の実際——を日常的に発信して、「この会社で働くイメージ」を持ってもらう活動です。求人票と役割がまったく違う点を整理します。

求人票・求人サイト SNS(採用広報)
伝えるもの 給与・勤務地・仕事内容などの条件 社風・人・日常・価値観
タイミング 募集期間だけ 募集していない時期も含めて常時
読まれ方 条件で比較される 「なんとなく良さそう」の空気で選ばれる
効く相手 今すぐ転職したい人 いつか転職を考えている人も含む

地方の中小企業がこの表の右側に取り組む価値は大きいと私たちは考えています。理由はシンプルで、条件の勝負では都市部の大手に分がある一方、「どんな人が、どんな空気で働いているか」の勝負なら、会社の規模は関係ないからです。むしろ社長と社員の距離が近い中小企業のほうが、体温のある発信をしやすい面すらあります。

媒体の選び方 — まずは1つに絞る

「Instagram もXもTikTokも全部やるべきですか」とよく聞かれますが、答えはノーです。少人数の会社が複数媒体を並行して続けるのは現実的ではありません。まず1つに絞ることをおすすめします。採用広報の観点での使いどころを整理します。

媒体 採用広報での使いどころ
Instagram 職場風景・社員の日常を写真とリールで。若手採用の第一候補になりやすい
X 代表や採用担当の「考え」を言葉で発信。テキストで語れる人向き
YouTube・TikTok 職場紹介・社員インタビュー動画。手間は大きいが伝わる情報量も大きい
LINE 発信より、応募者・説明会参加者との連絡手段として

前述の調査で就活生に見られていた媒体がInstagram・YouTube・Xだったことも踏まえると、写真で職場の雰囲気を伝えやすいInstagramが最初の1つになるケースが多い印象です。ただし正解は会社によって違います。採用したい人がどの媒体にいるか、社内の誰が続けられそうか。この2点で決めてください。媒体ごとの特徴や絞り方の考え方は、中小企業のSNS運用の始め方で詳しく解説しています。店舗ビジネスで集客用のInstagramをすでに運用している場合は、店舗のInstagram集客の考え方と組み合わせて、集客と採用を1つのアカウントで兼ねる形も現実的です。

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何を投稿するか — ネタは「日常」に転がっている

「発信するようなネタがうちにはない」というのは、支援現場で一番よく聞く言葉です。でも実際は逆で、社内の人にとっての「当たり前の日常」こそが、外の人には一番知りたい情報です。

  • 社員の1日: 朝の出社から退勤までの流れ。求職者が最も知りたい「入社後の自分」を想像させる定番ネタ
  • 職場風景: 事務所・作業場・休憩中の何気ない一枚。きれいに撮る必要はない
  • 働く人の紹介: 入社した理由、仕事のやりがい、休日の過ごし方。1人ずつ順番に
  • 代表の考え: なぜこの事業をやっているのか、どんな会社にしたいか。条件では伝わらない部分
  • 仕事の裏側: 納品までの工程、道具へのこだわり、失敗から学んだこと
  • 地域との関わり: 地元のイベント参加や取引先との関係。地方企業ならではの強み

コツは、盛らないことです。かっこよく見せようとした投稿より、少し不器用でも本当の日常が写っている投稿のほうが、見た人の信頼につながります。採用広報の目的は「よく見せる」ことではなく「正しく伝えて、合う人に来てもらう」ことだからです。

やりがちな失敗 — 逆効果になる発信

始め方と同じくらい大事なのが、やってはいけないパターンを知っておくことです。支援現場でよく見る失敗を共有します。

会社都合の宣伝ばかりになる。商品PRと「求人募集中です!」の告知だけが並ぶアカウントは、求職者から見ると求人チラシと同じです。知りたいのは募集していることではなく、そこで働く自分の姿です。宣伝と求人告知は投稿全体の2〜3割までに抑え、残りは日常の発信に充てることをおすすめします。

更新が止まったまま放置する。実はこれが一番怖い失敗です。最終投稿が1年前のアカウントを見た求職者がどう感じるか。「この会社、今も元気なのかな」という不安です。発信ゼロよりも、止まったアカウントのほうがマイナスに働くことがあります。続けられる頻度で始めることが何より重要な理由がここにあります。

盛りすぎて入社後ギャップを生む。良い面だけを切り取った発信は、応募は増えても入社後の「話が違う」につながり、早期離職の原因になり得ます。採用広報は入り口を広げる施策であると同時に、ミスマッチを減らす施策でもある。この両面を忘れないでください。

正直に言うと、もうひとつお伝えしておきたいことがあります。SNSを始めてすぐに応募がどっと増えるケースは、まれです。最初の変化はもっと小さくて、面接に来た人が「投稿、見ました」と言ってくれるようになる。応募の理由に「雰囲気が良さそうだったから」が増える。そういう手応えから始まります。ここで「効果がない」とやめてしまう会社を何度も見てきました。もったいない、といつも思います。

少人数でも「続く」体制のつくり方

最後に、一番の難関である「継続」の話です。採用広報が失敗する理由のほとんどは、内容ではなく更新が止まることです。続く体制のポイントは3つあります。

週1本から始める。毎日投稿は要りません。週1本を半年続けるほうが、毎日投稿して2ヶ月で止まるよりずっと価値があります。物足りなく感じるくらいの頻度設定が、結果的に一番遠くまで行けます。

ネタ集めと編集を分ける。写真を撮るのは全社員、投稿にまとめるのは担当者1名、という分担にすると負荷が偏りません。「面白いことがあったらこのグループに写真を送る」という簡単なルールだけで、ネタ切れはかなり防げます。

経営者が「発信は仕事」と認める。担当者が業務の合間に隠れてやる状態では続きません。投稿づくりの時間を業務として認め、経営者自身も月1回はネタを提供する。この姿勢があるかどうかが、続く会社と止まる会社の分かれ目だと感じています。

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まとめ — 「知ってもらう」から採用は始まる

この記事のポイントを整理します。

  • 求職者の8割超が企業選びでSNSを参考にしたという調査があり、応募前に会社を「検索」する行動が広がっている
  • 求人票は条件を伝えるもの、SNSは社風と人を伝えるもの。役割がまったく違う
  • 媒体は1つに絞る。写真で雰囲気を伝えやすいInstagramが第一候補になるケースが多い
  • ネタは社員の1日・職場風景・代表の考えなど「社内の当たり前」にある。盛らないことがコツ
  • 宣伝ばかり・更新停止・盛りすぎは逆効果。週1本を続けられる体制づくりを最優先に

採用は、選考が始まる前の「知ってもらう」段階から始まっています。条件で大手と戦う必要はありません。あなたの会社の日常を、まず1枚の写真から発信してみてください。半年後、面接の空気が少し変わっていることに気づくはずです。

「うちの場合、どの媒体で何を発信すべきか」を相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。採用したい人物像と社内の体制をお聞きして、無理なく続く形をご提案します。

よくある質問

SNSを始めれば応募は増えますか?

始めてすぐに応募数が増えるケースはまれだと考えたほうが現実的です。採用広報の効果はまず「応募の質」や「面接時の理解度」「内定辞退の減少」に表れやすい印象です。短期の応募数だけで判断せず、半年程度は続けることを目安にしてください。

新卒向けの話ですよね?中途採用でも効果はありますか?

公開されている調査は就活生(新卒)対象のものが中心ですが、応募前に企業名を検索して情報を集める行動は転職者にも広がっていると言われています。特に地方の中途採用では「どんな人と働くのか」が応募の不安要素になりやすく、SNSでの発信は不安解消に役立つと考えられます。

担当者を専任で置けない場合はどうすればいいですか?

専任者は必須ではありません。週1本の投稿からで十分です。ネタ集め(写真撮影)は社員みんなで、投稿の編集と公開は兼任の担当者1名で、という分担が続けやすい形です。無理な投稿頻度を設定して途中で止まることが一番の逆効果なので、少なく始めて続けることを優先してください。

孫田 彩花
Written by — 執筆

孫田 彩花

SNS Consultant

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