「TikTokって、うちのお客さんの世代は見ていないですよね?」
地方の中小企業のマーケティングを支援するなかで、本当によくいただく質問です。ただ、実はTikTokは以前から「若者だけ」の媒体ではありませんでした。10〜20代の利用が中心である一方、30〜40代の男女や50代男性も獲得したいときに候補として挙がる媒体として運用されてきた実績があります。私たちは「一度データを見てから判断しませんか」とお伝えしています。TikTokの利用者層は年々さらに広がっており、「若者だけのアプリ」という前提のまま選択肢から外すのは、少しもったいない状況になってきているからです。
この記事では、TikTok広告をまだ出したことがない中小企業の方に向けて、仕組み・費用・始め方の手順と、「そもそも自社に向いているのか」を判断する軸を整理します。
この記事で分かること
TikTokの利用者層が「若者だけ」ではなくなりつつある背景
TikTok広告の主なメニューと費用の仕組み
出稿までの手順と、最初に決めておくべきこと
自社に向いているかどうかを判断する3つの軸
TikTok広告とは — 「探していない人」に動画で届く広告
TikTok広告は、TikTokのおすすめフィード(動画が次々に流れる画面)などに、通常の投稿と同じ縦型動画の形式で表示される広告です。TikTok for Business(TikTokの広告主向け公式サービス)の広告マネージャーから、地域・年齢・性別・興味関心などの条件を指定して配信します。
構造としては、Instagram広告 と同じ「運用型のSNS広告」です。検索広告が「いま探している人」に出す広告だとすれば、TikTok広告は「探してはいないが、条件の合う人」に見つけてもらう広告。つまり、検索されない商材・まだ知られていないサービスの認知づくりが得意な広告だと言えます。
Instagram広告と大きく違うのは、ほぼすべての配信面が「音声ありの縦型動画」を前提にしている ことです。静止画バナーの流用では成立しにくい代わりに、動画がハマったときの拡散力・視聴の深さは他のSNS広告と比べても独特のものがあります。
「若者だけのアプリ」ではなくなりつつある
TikTok広告を検討する際、最初に確認したいのが「自社のお客さんの世代が本当にいないのか」です。
総務省が毎年実施している「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、TikTokの利用率は10代・20代で高いものの、30代以上にも年々広がっている傾向が示されています(参照: 総務省「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 )。全年代での利用率も3割前後まで伸びてきており、「10代のためのアプリ」だった数年前とは状況が変わっています。
もちろん、LINEやYouTubeほど全世代に浸透しているわけではありません。ただ、30〜40代の子育て世代が夜にTikTokを見る、50代が趣味の動画をきっかけに使い始める、といった動きは地方でも珍しくなくなってきました。「うちのお客さんはいない」と決める前に、まず最新の年代別データを確認する。ここから始めることをおすすめします。
広告メニューと費用の仕組み
TikTok広告にはいくつかの配信形式があります。中小企業がまず検討するのは、実質的に次の2つです。
課金は、表示回数(CPM)・クリック(CPC)・動画視聴(CPV)など、目的に応じた運用型の仕組みです。ここはMetaやGoogleの広告と同じ考え方で理解できます。
注意したいのは最低予算の設計 です。Instagram広告のように「1日数百円から」という感覚で始められる設計にはなっておらず、キャンペーンレベルで1日50米ドル以上、広告グループ(広告セット)レベルで1日20米ドル以上の予算が必須とされています(参照: TikTok for Business「予算について」 )。最低ラインの20米ドルで1ヶ月(30日)回すだけでも600米ドル、日本円で6〜9万円程度になる計算です。詳細な金額は改定されることがあるため広告マネージャー上で確認いただきたいのですが、感覚としては月数万円規模の予算を確保して1ヶ月程度回す ことを前提に検討するのが現実的です。「まず月1万円だけ」という試し方には向かない媒体だと捉えてください。
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自社に向いているかを判断する3つの軸
TikTok広告は万能ではありません。私たちが支援の現場でお客様と一緒に確認しているのは、次の3つの軸です。
軸1: 商材が「見て伝わる」か
動画で映えるかどうか、というより「動きや変化で伝えられるか」です。飲食・美容・フィットネス・小売・体験サービスなどは相性が良く、逆に無形の専門サービス(士業・BtoBの一部など)は、伝え方の工夫がないと難しくなります。
軸2: ターゲットの年代とTikTokの利用者層が重なるか
前述の総務省データなどで、狙いたい年代の利用率を確認します。10〜30代が主要顧客なら有力候補、40〜50代なら「重なりはあるが検証前提」、60代以上が中心なら他の媒体を先に検討する、というのが現時点での目安です。
軸3: 月6〜9万円程度の検証予算を1〜3ヶ月続けられるか
最低予算の下限がある以上、「効果が出るまで小さく長く」という戦い方がしにくい媒体です。検証期間の予算を先に確保できるかどうかを、始める前に確認しておくことをおすすめします。
3つすべてに「はい」と答えられるなら、検討の土台に乗せてよい媒体です。1つでも「いいえ」があるなら、Instagram広告 やリスティング広告 から先に整えるほうが、費用対効果は安定しやすいと考えています。
出稿までの手順
実際に始める場合の流れはシンプルです。
TikTok for Businessのアカウントを開設する — 広告マネージャーのアカウントを作成します(参照: TikTok for Business公式サイト )
支払い方法と事業情報を登録する — クレジットカード等を設定します
計測の準備をする — サイト誘導が目的なら、TikTokピクセル(サイトに設置する計測タグ)を先に設置しておきます
キャンペーンを作成する — 目的(リーチ・トラフィック・コンバージョンなど)を選び、地域・年代・予算を設定します
動画素材を入稿して配信開始 — 審査を経て配信が始まります
手順そのものより大事なのは、始める前に「何をもって成功とするか」を決めておく ことです。認知が目的なら再生数・リーチ、来店や問い合わせが目的ならクリックとその後の行動。目的が曖昧なまま始めると、数字が出ても判断ができず「なんとなく終わる」ことになりがちです。
まとめ — 「若者向け」の思い込みを外して、データで判断する
最後に、この記事の要点を整理します。
TikTokの利用者層は30代以上にも広がっており、「若者だけのアプリ」という前提は見直す時期に来ている
TikTok広告は「探していない人に動画で届く」広告。検索されない商材の認知づくりが得意
中小企業の基本はインフィード広告とSpark Adsの2つ
最低予算の下限があるため、月6〜9万円程度×1〜3ヶ月の検証を前提に考える
「見て伝わる商材か」「年代が重なるか」「検証予算を続けられるか」の3軸で判断する
TikTok広告は、ハマれば少ない予算でも大きな認知を生める一方、「とりあえず出してみる」が通用しにくい媒体でもあります。動画づくりの考え方はTikTok広告のクリエイティブ制作 で、店舗ビジネスでの具体的な使い方は地方の店舗ビジネスでのTikTok広告活用 で詳しく解説しています。自社に合うかどうか迷ったら、判断の段階からでもお気軽にご相談ください。
よくある質問
TikTok広告はいくらから出せますか?
InstagramやGoogleの広告のように1日数百円からという設計にはなっておらず、広告マネージャー上でキャンペーンレベルで1日50米ドル以上、広告グループレベルで1日20米ドル以上の予算が必須とされています。最低ラインでも1ヶ月で6〜9万円程度になる計算のため、月数万円規模を確保して1ヶ月程度回すことを前提に検討するのがおすすめです。金額の下限は変更されることがあるため、出稿前に広告マネージャーの画面で最新の条件を確認してください。
TikTokのアカウントを運用していなくても広告は出せますか?
出せます。TikTok広告はビジネスアカウントの投稿とは別に、広告用の動画素材だけで配信を始められます。一方で、自社アカウントの投稿をそのまま広告として配信する方式(Spark Ads)もあり、投稿の反応を見てから「伸びた投稿に予算を乗せる」使い方も可能です。
動画制作を外注しないと始められませんか?
必ずしも外注は必要ないと考えています。TikTokでは作り込まれた広告よりも、スマホで撮影した「投稿になじむ」動画のほうが受け入れられやすい場面が多くあります。まずはスマホ撮影の素材で小さく試し、反応が見えてから制作に投資する順番でも遅くありません。
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